Yohさんの母の体験記

88歳で右足人工関節全置換術 (2007年1月9日)       TOPへ
                
  1  2  3 





88歳の母の股関節手術

  《 入院・手術 》

   2007年1月5日に入院しました。
    母は、入院して直ぐは病院という新しい環境に慣れることが出来ず戸惑いました。
    家族がいつも付き添うようにしました。そのうち少しずつ入院生活に慣れて行きました。
    1月9日、右股関節の人工関節置換手術を受けました。
    手術に懸かった時間は2時間余り。
    ボルト3本で止め、骨移植をし、セメントを使用しました。
    最初の説明で1時間ほどと云われた手術時間が長くなったのは、腎臓への負担を考えて
    麻酔をゆっくりかけるようにし、出血も抑えたからと説明を受けました。輸血もしました。

  《 術後 》

   日一日と順調に回復しました。
   検査の結果、一番心配していた腎機能は、むしろ術前よりも数値は良いと云われ、
   透析は避けられ、家族はひとまず安堵しました。

   人工関節は綺麗に入っていました。
   術後直ぐ、母は、傷口はまだ痛いけれど足の痛みは無くなったと云いました。
   トイレは、正確には覚えていませんが、翌日には歩行器で行くことが出来たと思います。
   リハビリも午前・午後と、1日2回始まりました。
   看護師さんがたえず声を掛けてくれ、病棟廊下を歩行器で一緒に歩いたり、日中はベッドで
   寝たきりにならないようにしてくれました。

   その後の検査で脚に血栓が見つかり、投薬治療が始まりました。

 《 退院 》

   2月上旬、(入院から1ヶ月、手術からほぼ4週)、何とか両杖歩行ということで退院しましたが、
   この退院は、血栓が出来てリハビリが遅れがちだったにも係わらず、母が主治医に何度も
   退院をお願いして、ドクター、看護師さん、理学療法士さんから、
   「リハビリがまだ不十分ですがお家で頑張って!」と云われての退院でした。

   《 退院後 》

   退院1ヶ月後の検診の時、リハビリが充分でないまま家に帰ったので、動かない・動けない
   生活になり、これでは折角手術を受けて歩けるようになったのにまた歩けなくなってしまうのでは
   ないかとお話しして、リハビリの為にまた入院するという事になりました。

   《 リハビリで入院 》

    3週間の予定で、再度リハビリを受けるために入院しました。
    看護師さんからも理学療法士さんからも、3週間でどこまで出来るようになるかは本人の
    努力次第ですと云われて、午前・午後と、リハビリが始まりました。

    リハビリ室まで両杖で歩く時、次第に足がシッカリして行き、曲がっていた腰が伸び、
    歩く姿勢が良くなって行きました。

    訪ねて行くたびに、一日・一日、足に力が付いて行くのが判りました。

    トイレに行く、ベッドに座る・下りる、寝る・起きる、洗面・椅子に座る、椅子から立つ、
    靴を履く、脱ぐ・・・等々、日常の動作が自然に滑らかに出来るようになって行きました。

    脱臼しないように、してはいけない姿勢や動作の訓練も繰り返し受けました。
    しっかり歩けるようになり、自立して自分のことが楽に出来るようになって、
    母の表情も明るく元気になって行きました。

    春になったら家の周りを散歩したい・・・等々、自分から意欲的に色々なことをしてみたいと
    話すようになりました。

    片杖歩行可能で、予定通り3週間で退院しました。

   《 その後 》

   2007年4月、母は89歳になりました。
   手術を受けて足の痛みから解放され、リハビリで足に力が付き、歩ける足を取り戻しました。
   人工透析になることは避けられました。
   ディ・サービス等、外の世界との生活も積極的に楽しむようになりました。
   時々、足が痛かったことも、手術を受けたことも忘れてしまいますが、
   自分が物忘れするということは解かっていて思い出します。

   同居している家族は、母が明るくなり、毎日の生活も意欲的になったと喜んでいます。

  《 母の手術で思うこと 》

    88歳の親に手術・・・となると、家族や子ども達は、危険を冒し、老齢の親に辛い思いを
    させて・・・と消極的に考えがちだと思います。定期的に母の腎臓を診て戴いていた内科の
    ドクターも、母の腎臓への負担を心配して、手術には「ウ〜ン」と難しい顔をしたそうです。

   今考えると、母は、義姉の的確な判断で適切な診察を受け、受診した整形のドクターとの
   出会いも幸運だったと思います。股関節の病気が発見されてからは、最速のタイミングの
   良さで、良い手術を受け、細やかな看護を受け、しっかりとリハビリを受けることが出来ました。

   痛みは、どんな人にとっても、生きる意欲を萎えさせると思います。
   痛みから解放され元気になった母を見て、その後の生活に脱臼等の心配があったとしても、
   手術を選択して良かったと、今は思えます。


   母が入院していた病院では、流石に88歳というのは珍しいそうですが、80歳台で手術を
   受ける方は結構いらっしゃるそうで、老齢の方がたくさん入院し、手術を受け、元気になって
   退院していました。

   今の医学の進歩は、ドクターが手術が出来ますと仰れば出来るのだということを実感しました。

   血栓が発見されたときは、私の股関節の仲間でやはり術後に血栓が発見された方が
   適切な治療で大丈夫だったことを知っていましたし、手術が無事終わり透析の危機も
   越えられたことでもあり、乗り越えられるのではないかと慌てずに受け止めることが出来ました。

   リハビリの入院で、母の足が力を付けて元気になり、リハビリの大切さも解かりました。

   当時E病院で手術し入院なさっていた股関節の先輩から、色々な知識や情報を得られたことも、
   入院・手術・リハビリのことで家族が安心できました。
   家族の気持ちが安定していることは大事だと思いました。

   88歳という高齢での母の手術と入院生活には、環境に適応しづらくなっている母にとって
   心身ともに大変な毎日であったと思います。それを乗り越えた母は、
   本当に精一杯頑張ったと思います。
   また、色々な方がたの応援やお心遣いにも本当に恵まれたと思います。

   母には、これからも、いつまでも健康で快適な生活を送って貰いたいと願っています。

                         

 

                                                yohさん体験記へ

  

戻る            次へ