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前方進入法の手術方法  


1.人工骨と股関節について
 
  1)私達の骨と人工骨の構造
    私どもの骨はミネラル(主にカルシウムとリン)と蛋白質(主に膠質、コラーゲン)
    から成っています。そして、このような骨は常に代謝されており、
    旧い骨は壊されて新しい骨が置き換わっていきます。
    現在用いられている人工骨はミネラル(カルシウムとリンを結びつけたもの)のみから
    成っています。その使用は主にヒトのある骨の中に入れて用いられます。
    例えば、THA後のゆるみで骨盤(臼蓋)の中に大きな骨欠損が生じた場合、
    自分の骨(殻)の中に人工骨を(自分の骨の替わりに)いれて用いるのです。
 
  2)将来の人工骨と股関節手術
    現在の人工骨は、上記のように実際に股関節手術で用いられております。
    しかし、その使用はあくまでも自分の骨がしっかりしている中に入れることが
    主たるものです。現在の様な構造の人工骨には限界がある訳です。
    しかし、ヒトの骨と同じ構造の骨が作れれば話しは別です。
    私どもの骨は生きているのですから。
    もし、その様な人工骨ができたとしたら、臼蓋形成術は不要になります。
    例えば、臼不全があり、その臼蓋の外側に注射針で人工骨を植えます。
    すると臼蓋からはみ出していた大腿骨頭がすっぽりと被われる、ということです!
 
  3)夢か真か
    世界中の研究者が“再生医療”に取り組んでいます。
    生きた骨の再生も、まもなく実現されるでしょう。
    ただし、前記の手術にとって替るまでには少なくとも10年はかかるでしょう。
    いや20年から30年かな。
 
 
2.RAOとキアリ手術
   
  1)RAO  
   臼蓋を作る一つの方法です。最も大事なのは臼蓋を単に作る(前記の骨で骨頭を被覆する)
   だけでなく、臼蓋の傾き自体を変えるということです。
   即ち骨頭と臼蓋の適合性(骨頭と臼蓋の位置関係)を
   正常化する、ということです。一方、
 
  2)キアリ手術
    は骨頭と臼蓋の関係を変えないで骨盤を移動させて、骨頭の外側被覆を得るのです。
    ですから、現在ある骨頭と臼蓋の位置関係を変えるべきかどうかで
    RAOかキアリかになります。
 
  3)手術はどちらかが容易である
    とは言えませんが、侵襲の度合いから言うと、キアリの方が小さいでしょうか。
    骨頭変形が強かったり、股関節症が進んでいてTHAのできない症例にキアリを行います。